「ロボットが歩く」「ロボットが闘う」…子供の頃には夢物語だったロボット達の活躍。今、その夢が手の届くところまできています。ものづくりのまち長井では、夢に向かって製造業の若手経営者や技術者が互いに協力し合い、不可能を可能に変える挑戦を続けています。
参加者・支援者
長井市は、東芝の企業城下町として60年を超える歴史を持ち、その過程で中小企業を支える多様な技術を持った町工場が集積しています。
平成7年当時、海外シフトによる製造拠点の空洞化や、東芝の撤退、そして地元工業高校が統廃合の危機に直面するなど、多くの問題が浮上しました。そこで脱企業城下町を目指し「地域と企業が次の時代に対応できる人材の育成」と「中小企業を中心にしたネットワーク型産業社会の構築」を産業振興の最重要課題に据えました。平成8年に、長井市を含む全国5都市が指定を受けて取り組んだ「技能振興推進都市奨励事業」を経て、平成10年、「山形県技能振興拠点都市育成事業(厚生労働省:地域人材育成総合プロジェクト事業)」に取り組み、企業の連携により「NAGAI次世代マイスター育成協議会」を設立し、人材育成事業をスタートさせました。
5年後、マイスター育成事業の発展形として、長井商工会議所を事務局に、より実践的な技術習得を目指した平成15年度「ものづくり伝承塾」事業がスタートしました。当初は、域外へ発注している工程を地元で受けるための技術研修の実施を検討しましたが、各社の共通課題に限りがあったため、共通課題を任意に設定し、その課題解決に取り組む方向に事業を転換しました。そのとき設定した共通課題は「ロボット開発」。そこから「ロボットプロジェクト」は歩き始めました。
なぜ「ロボット」なのか?…長井市では、マイクロマウス東北地区大会が20年程前から毎年開催され、地元工業高校が優秀な成績を収めるなど、ロボット開発におけるノウハウを地域全体で蓄積してきた実績があります。加えて、当地域には省力化機械、いわゆる産業用ロボットの製造に携わる企業が多数存在します。開発や設計を始め、加工技術から制御技術まで幅広い技術分野を必要とするロボットは、技術高度化のための共通課題になり得る最適な素材だったのです。
折りしも世は「鉄腕アトム誕生」の年を迎え、二足歩行ロボットブームに沸いた2003年。マイクロマウス大会の常連であり、"ROBO-ONEの父"と称される森永英一郎氏が格闘競技用の二足歩行ロボットを長井市で披露されたことをきっかけに、その年に設立した「西置賜産業会」の企業の後継者や若手技術者で組織する"次世代グループ"により、二足歩行ロボットの格闘競技大会「ROBO-ONE」参戦を当面の目標としたロボット開発が進められました。
少子高齢化社会を迎え、国民生活レベルにおけるロボットの活躍に期待が高まる中、現在その分野で日本が世界に先駆けて競争力を獲得しつつあります。本事業では、ロボット開発に必要な人材を地域全体で育成していくことで技術の継承と蓄積を図り、新たな分野や新製品化の可能性を開拓することを目的としています。加えて、設計から制御まで多種多様で高度な技術を必要とするロボット開発を地域全体で手掛けることで、企業が各々に保有する技術の高度化を進めます。ひいては、産業人のみならず、将来の産業振興を担う子供や学生たちといった地域の人材にものづくりを伝承していくことを目指しています。
地域の課題を工業者の目を通して理解し、工業者の立場で解決するためには、協同の情報発信や営業等を推進する企業コミュニティーを形成する必要があります。本事業では、共通の課題を「ロボット開発に必要な技術」に定めて、その解決手法の検討と実践を企業が協同することで、保有する工程が異なる企業間の連携を創出することを目的としています。一方、地域の財産である工業高校や、一般市民とも連携し、大学等研究機関とのネットワークを確立しながら、地域としての「ものづくりコミュニティーの形成」も必要不可欠と考えています。
企業城下町、下請け地域のイメージ脱却を図るため、ロボットに関する技術の集積地としての地域イメージを形成し発信することを試みています。ロボットプロジェクトを「レインボープラン」「次世代マイスター人材育成事業」に次ぐ新たな地域ブランドと位置付け、地域の知名度向上を図るとともに、地域産業の振興に資することを目的とします。
Copyright©Nagai Chamber of Comerce and Industry All Right Reserved.